技術解説 2026/06/05
トカマク・ステラレータ・慣性——3つの閉じ込め方式
核融合を起こすには、1億℃級のプラズマを「閉じ込める」必要がある。その方法は大きく磁場閉じ込めと慣性閉じ込めに分かれる。代表的な方式を整理する。
① トカマク:本命とされるドーナツ型
ドーナツ(トーラス)状の容器に強力な磁場をかけ、プラズマを閉じ込める。ITERや多くのスタートアップ(CFS、Tokamak Energy、Energy Singularity)が採用する最有力方式だ。設計が成熟している一方、プラズマ電流を流し続ける必要があり、定常運転や「ディスラプション」と呼ばれる不安定性の制御が課題になる。高温超電導(HTS)磁石の登場で、装置を小型化できる道が開けた。
② ステラレータ:ねじれで安定を狙う
磁場コイルを複雑にねじって配置し、プラズマ電流に頼らず磁場だけで閉じ込める。原理的に定常運転に向き、ディスラプションが起きにくい。難点はコイル形状が極めて複雑なこと。近年は計算最適化で設計が現実的になり、Proxima Fusion、Type One Energy、Thea Energy、Renaissance Fusion などが挑む。
③ 慣性閉じ込め:一瞬で爆縮する
燃料ペレットをレーザーやパルスで四方から圧縮し、ごく短時間で核融合を起こす。2022年に米NIFが「点火」を達成して注目された方式だ。スタートアップではレーザー型(Marvel Fusion、Xcimer、Focused Energy、EX-Fusion)やパルス磁気型(Helion、Pacific Fusion)、弾丸型(First Light)など多彩。繰り返し高頻度で爆縮させる「連射」が事業化の鍵になる。
事業としての見方
方式ごとに、装置サイズ・建設費・部品サプライチェーン・運転方式が異なり、ビジネスの形も変わる。「どれが物理的に優れているか」だけでなく、「どれが早く・安く・繰り返し電気を生めるか」が、投資家の評価軸になりつつある。
出典: ITER, IAEA, TechCrunch「How fusion power works」, 各社発表をもとに編集部作成。
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