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用語

用語集 2026/07/03

ダイバータとは——核融合炉で最も過酷な“排気口”

ダイバータは、核融合炉の炉心プラズマから不純物や熱を排出するための装置である。プラズマを高温・高密度に保ちながら反応を持続させるには、燃え残った燃料やヘリウム灰を効率よく取り除く仕組みが欠かせない。炉内で最も過酷な熱にさらされる部位のひとつであり、材料開発や製造技術が核融合炉実現のカギを握るとされる。

プラズマの排気と不純物除去という役割

トカマク型核融合炉では、磁場でプラズマを閉じ込めて核融合反応を起こす。反応が進むと、燃料の燃えかすであるヘリウムや、炉壁から剥がれた不純物がプラズマ中に蓄積していく。これらを放置すると、プラズマの温度や密度が下がり、反応の持続が難しくなる。ダイバータは、磁力線を炉心から意図的に引き出し、その先にある専用の受け皿にプラズマを導くことで、不純物とヘリウム灰を炉外へ排出する役割を担う。あわせてプラズマの閉じ込め性能を高める効果もあるとされ、核融合炉の運転を安定させるうえで欠かせない機器と位置づけられている。

10MW/m²級とされる過酷な熱負荷

ダイバータが直面する最大の課題は、桁違いの熱負荷である。プラズマから排出される熱と粒子はダイバータの一点に集中するため、その熱負荷は定常時でも10MW/m²級に達し、瞬間的には20MW/m²程度にまで跳ね上がるとされる。ロケットの大気圏突入時に匹敵するとも形容される厳しさで、これに長期間耐えられる構造と材料を実現できるかどうかが、核融合炉の発電能力そのものを左右するといわれる。冷却水を通す配管構造と表面材料の組み合わせにより、繰り返し熱サイクルに耐える設計が求められる。

なぜタングステンなのか

ダイバータの受熱部には、融点が金属の中で最も高い部類に入るタングステンが採用されている。プラズマに直接さらされても溶融しにくく、水素同位体を保持しにくいといった特性が評価されているとされる。ITERの設計では、タングステンの小片を配管の周囲にブロック状に並べる「モノブロック」と呼ばれる構造が採用されており、高熱負荷試験でも大きな損傷なく性能を維持することが確認されているとされる。もっとも、熱サイクルによる微細なひび割れが生じる場合もあると報告されており、長期運転を見据えた耐久性の検証が続けられている。

ITERのダイバータと日本企業の製造関与

ITERのダイバータは、外側垂直ターゲット、内側垂直ターゲット、カセットボディ、ドームといった部品で構成され、それぞれ異なる国・地域が製造を分担する国際協力の体制がとられている。このうち外側垂直ターゲットの製造は日本が担い、量子科学技術研究開発機構(QST)と三菱重工業が中心となって開発・量産を進めている。2024年にはプロトタイプが完成して認証試験に合格し、2025年には実機初号機の製作が完了したと報じられており、日本の産業界が持つ精密加工・溶接技術が国際プロジェクトの中核部品を支えている。

出典: 量子科学技術研究開発機構(QST)、ITER機構、三菱重工業、日経クロステック、World Nuclear News の各公表資料をもとに編集部作成。

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