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Supply Chain

Research 2026/06/16

日本の核融合サプライチェーン——素材・部品・計測で勝つ新興企業

核融合スタートアップ=炉をつくる会社、とは限らない。炉が動くには、ベリリウムやリチウムといった特殊素材、超精密部品、そして計測技術が要る。日本では今、この「供給網」を狙う新興企業が次々と立ち上がっている。STARTUP DB の核融合炉タグから、炉本体の外側で勝負する日本勢を整理した。

なぜ供給網に注目するのか

炉方式の競争は資金力の勝負になりやすく、累計数千億円を投じる米国勢が先行する(→ Database の資金調達ランキング参照)。一方、素材・部品・計測といった供給網は、技術の独自性さえあれば小さな資本でも世界に売れる。ITER やあらゆる炉方式が共通して必要とする「縁の下」を押さえる戦略だ。日本はもともと素材・精密加工に強く、ここに勝ち筋がある。

① 素材——ベリリウムとリチウム

核融合炉のブランケットには、中性子増倍材のベリリウムと、燃料トリチウムを生むリチウム(特に⁶Li)が欠かせない。MiRESSO(青森)は低温精製技術のパイロットプラント「BETA」でベリリウムを製造し、シリーズAで累計約66.8億円を調達——供給網プレイヤーとしては国内随一の資金規模だ。リチウム側では、弘前大学発のリキューブが同位体分離・高純度化を、QST発のLiSTieがイオン伝導体を用いたLi回収システム「LiSMIC」を手がける。いずれも核融合に限らず半導体・電池にも展開できる点が強い。

② 部品・計測——精密加工とセンシング

炉の心臓部は、ミクロン単位の精度を要する。クリスタル光学(滋賀)は金属・セラミックの超精密研磨で、レーザー型を含む装置部品を支える。計測ではエルライ(京都)が、ガンマ線を画像として捉える世界初のカメラ「ETCC」を開発。原子力・核融合の安全モニタリングに応用できる。研究開発そのものを請け負うビームフォーフュージョン(岐阜)は、量子ビーム技術でR&Dを下支えする。

③ 炉本体でも新顔が続々

もちろん炉開発の新興も増えている。Starlight Engineは発電実証プロジェクト「FAST」を運営し、D-T燃焼プラズマと発電の一体実証を2030年代に狙う。FUSION HARMONY(滋賀)は卓上型加速器「MIRRORCLE」を使うシンクロトロン核融合、Fusion Fission Powers(中部大学発)は核融合で起動・制御する核融合-核分裂ハイブリッド炉という独自路線だ。京都フュージョニアリング・EX-Fusion・Helical Fusion といった先行勢(→ 日本勢の最前線)の周りに、層が厚くなりつつある。

特許から見える研究開発の熱量

知財の動きも活発だ。日本における「核融合」関連の特許出願は、2024年1〜9月で36件と前年同期比+56.5%。直近では磁場制御へのAI応用(「ニューラルネットワークを使用した磁気閉じ込めデバイスの磁場の制御」)や、ブランケット・冷却水配管の検査といった炉工学・計測まわりの出願が注目を集める。素材・部品の事業機会と、特許で見える研究テーマはきれいに重なっている(→ Database の特許動向参照)。

営業・提携の地図として

もしあなたが素材・部品メーカーなら、まず狙うべきは資金力のある炉開発勢と、共通需要の大きいブランケット・磁石まわり。逆に炉開発側は、ボトルネックになりがちな⁶Li・ベリリウム・精密部品の国内調達先として、ここで挙げた新興企業が選択肢になる。区分で絞ってリスト化したい場合は Partners のCSV出力を使ってほしい。

出典: STARTUP DB「核融合炉」タグ掲載情報、パテント・インテグレーション レポート(patent-i.com)、各社発表をもとに編集部作成。数値・状況は公開情報に基づく概況で、最新と異なる場合があります。

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