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週刊ニュース

ニュース 2026/07/30

今週の核融合(2026年7月30日号)——CFSが10億ドル追加調達、Helionは民間初のD-T運転で1.5億度

週刊まとめ第4号。今週は「記録」の連続だった。資金では業界最大手CFSが一度に10億ドルを積み増し、技術では民間装置として初めてD-T燃料を焚いたHelionが温度記録を更新。日本勢も60.6億円調達とゼネコン提携で続く。資金の出し手・燃料・製造——三つの面で、業界の位相が一段進んだ一週間を整理する。

CFS、10億ドル追加調達で累計40億ドルに——出資者は「年金・SWF・インフラ資金」へ

Commonwealth Fusion Systems(CFS)は7月30日、10億ドルのエクイティ調達を発表した。累計調達額は約40億ドルとなり、世界の民間核融合投資(FIA集計で累計約142億ドル)の3割弱を1社で占める計算になる。注目すべきは資金の出し手で、今回は年金基金・政府系ファンド(SWF)・インフラ/産業系投資家といった機関投資家が中心。ベンチャーキャピタル主導だったこれまでのラウンドとは明確に性格が異なり、「発電所を建てる産業」としての値付けが始まったことを示す。

実機開発中のトカマクSPARCは組立の約8割が完了(CEOボブ・マムガード)。経営面でも元Moderna CFOのローレンス・キム氏を迎え、上場も視野に入る布陣を整えつつある(CFS徹底解説)。

Helion「Polaris」、民間初のD-T運転で1.5億度

Helion Energyは、第7世代機Polarisが民間核融合装置として初めて重水素-三重水素(D-T)燃料での運転に成功し、プラズマ温度1.5億度を達成したと明らかにした。前世代機Trenta(D-³He運転)の1億度から大幅に更新した形だ。同社はMicrosoftとの電力購入契約(PPA)に基づき、2028年までにワシントン州マラガで50MW超の商用機「Orion」の稼働を目指しており、燃料・温度の両面で商用化ロードマップの前提を一つずつ潰しにきている(Helion徹底解説)。

日本: Starlight Engineが60.6億円、Helical Fusionは安藤ハザマと建設へ

東京のトカマク開発スタートアップStarlight Engineは7月24日、初の外部調達となる60.6億円の第三者割当増資を発表した。リードはGlobal Brainで、三井不動産、KDDIオープンイノベーションファンド、京都大学イノベーションキャピタル、慶應イノベーション・イニシアティブ、フジクラ、古河電工、大和企業投資、みずほ銀行、三菱UFJ銀行などが参加。ITER・JT-60SAの知見を活かす実証炉「FAST」の工学設計を進め、2030年代の発電実証を狙う。国内スタートアップの1ラウンドとしては最大級だ(日本の調達アップデート)。

ヘリカル方式のHelical Fusionは、初号発電ユニット「Helix KANATA」(2030年代後半・50〜100MW目標)の建設に向け、大手ゼネコンの安藤ハザマと基本合意を締結。6月24日に政府が示した「17戦略分野」では核融合に2040年度までに官民3.1兆円の投資が見込まれており、「誰が炉を建てるのか」という実装側の座組みが国内でも埋まり始めた(Helical Fusion徹底解説)。

政策: 米業界の「100億ドル要求」にDOEは難色、独はレーザーハブ整備

米国ではCFSら核融合企業が、NASAの商業宇宙プログラムを手本に10年で100億ドル規模の官民コストシェアを求めてロビー活動を展開しているが、POLITICOによればDOEのダリオ・ギル科学次官はマイルストーン・プログラム採択8社との会合で「実現は難しい」と伝えた。FY2027予算案は核融合関連を前年比約5,000万ドル削減する内容で、民間投資の過熱(2025年だけで約45億ドル)と公的支援のギャップが広がっている。

一方ドイツは、連邦研究・技術・宇宙省(BMFTR)が「Hubs for Fusion」構想の下、Marvel FusionFocused Energyが共同主導するレーザー核融合ハブへの資金拠出を発表。European XFELやDESYなど15の大学・研究機関、13の産業パートナーが参画し、RWEの廃止済みビブリス原発跡地には「核融合産業化キャンパス」を置く。廃炉サイトの転用という点でも示唆的な、欧州発の実証インフラ整備だ。

サプライチェーン: ITER真空容器の最終モジュール、中国の582トン磁石、Theaの磁石量産

製造の現場でも節目が続いた。HD現代重工業は、担当したITER真空容器セクター(高さ11.3m・約400トン)の最終号機が熱遮蔽・超電導磁石と一体化され、セクターモジュールとして組立完了したと発表(7月22日・カダラッシュ「KOREA-ITER Fusion Day」)。中国では合肥・中国科学院プラズマ物理研究所が、長さ21m・重量582トンのトロイダル磁場コイルと高温超電導セントラルソレノイドの全パラメータ試験を完了した。米国ではThea EnergyがARPA-Eから2,000万ドルを獲得し、ステラレータ用モジュール型HTS磁石(1炉あたり大型12基+小型300基超)の量産技術開発に充てる。磁石と大型構造物——核融合の勝負どころが製造工程に移りつつあることを示す3件だ(Supply Chain DB)。

今週の視点

CFSの10億ドルで最も重要なのは金額ではなく、出し手が年金・SWFに広がったことだ。VCのリスクマネーではなくインフラ投資の論理で核融合に資金が入り始めたことは、HelionのD-T到達や各国の製造マイルストーンと同じ方向を指している——業界は「できるか」の段階から「いつ・いくらで建つか」の段階へ移った。他方、米国では公的支援が民間の期待に追いつかず、独中は国を挙げてインフラと製造を固める。資金・技術・製造の三拍子が揃った週の裏で、政策の地域差が次の変数として浮上している。次号では8月頭の動きと国内政策の続報を追う。

出典: CFS発表・POWER Magazine(2026/7/30)、ANS Nuclear Newswire(2026/7、Helion・Inertia)、日刊工業新聞・BRIDGE(Starlight Engine、2026/7/24)、MONOist(Helical Fusion×安藤ハザマ、2026/7/27)、POLITICO(2026/7/24)、idw(独BMFTR、2026/7/29)、スターニュース(HD現代重工、2026/7/26)、新華社・日経(中国582トン磁石、2026/7/29)、TechCrunch(Thea Energy、2026/7/27)をもとに編集部作成。数値は各出典に記載の値。

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