Fusionist
← Media に戻る
週刊ニュース

ニュース 2026/07/17

今週の核融合(2026年7月17日号)——General Fusionが上場初日、Proximaの欧州最大調達、FIA年次レポート

週刊まとめ第2号。今週(7月3日〜7月16日)は、前号で予告したGeneral FusionのNASDAQ上場がついに実現し、欧州ではProxima Fusionが4.11億ユーロという域内最大の調達を発表。FIAの年次レポートは業界の年間調達額が過去最高の44.8億ドルに達したことを示した。「資本市場の週」と呼ぶべき1週間だ。

General Fusion、NASDAQ上場——核融合「純業」として世界初の上場企業に

カナダのGeneral Fusionは7月13日、SPAC(Spring Valley Acquisition Corp. III)との合併完了を受けてNASDAQでの取引を開始した。ティッカーはGFUZ(ワラントはGFUZW)。核融合を本業とする「ピュアプレイ」企業としては世界初の上場となる。7月上旬の株主総会で両社の承認が得られ、社名はGeneral Fusion Group Ltd.に変更された。

同社は約1億800万ドルの確定済みPIPEに加え、SPACの信託資金を合わせて約1.5億ドルの現金を確保して公開市場に臨む。前号で伝えたとおり、実証機LM26では圧縮のみで電子温度約840万度への加熱を実証済みで、技術マイルストーンと資金調達の両輪で商用化を急ぐ。FIAによれば、TAE Technologiesも2026年中のNASDAQ上場を準備しており、核融合企業の株式市場入りが相次ぐ可能性がある。詳しくはGeneral Fusion 徹底解説を参照。

Proxima Fusion、4.11億ユーロ(4.68億ドル)調達——評価額24億ユーロで「欧州の旗手」に

ドイツ・ミュンヘンのステラレータ企業Proxima Fusionは、XTX VenturesとEast X Venturesがリードする4.11億ユーロの資金調達を発表した。GoogleとドイツのエネルギーメジャーRWEが戦略投資家として参加し、評価額は24億ユーロ。創業3年足らずで累計調達額は6.5億ユーロ超(公的助成9,500万ユーロを含む)となり、欧州で最も資金力のある核融合企業となった。

調達資金はステラレータ・モデルコイル(SMC)の完成、高温超電導(HTS)ケーブル・磁石の生産拡大、ステラレータ向けエンジニアリング体制の構築に充てられる。GoogleはCFSとのPPA・出資に続く核融合コミットで、ビッグテックによる「AI電力需要×核融合」の投資構図が欧州にも広がった格好だ。背景はProxima Fusion 徹底解説で解説している。

FIA年次レポート:年間調達額44.8億ドルで過去最高——前年比69%増

Fusion Industry Association(FIA)は7月13日、第6回となる年次レポート「The Global Fusion Industry in 2026」を公開した。2026年7月までの12カ月間に56社が計44.8億ドルを調達し、年間ベースで調査開始(2021年)以来の最高額を記録。前年比69%増で、累計調達額は142.4億ドル、業界の雇用は16,000人超に達した。

今年の特徴は商業化指標の充実だ。立地協定を締結済みの企業が6社、電力購入契約(PPA)等の商業的コミットを持つ企業が5社と、「売り先」の具体化が進む。71%の企業が2030年代の商用発電開始を見込む一方、短期の課題として資金調達(67%)、発電効率(64%)、耐中性子材料(64%)が挙がった。日本からは3社が調査対象に含まれている。資金動向の全体像は資金調達マップもあわせて参照。

UKAEAとEni、核融合産業向けサービスJV「RH3OVA」を設立

英国原子力公社(UKAEA)とイタリアのエネルギー大手Eniは、核融合産業向けに専門コンサルティング・運用サービスを提供する合弁会社RH3OVAを英国に設立したと発表した。UKAEAの数十年にわたる核融合研究・運転経験と、Eniの大規模プロジェクト遂行力を組み合わせ、燃料サイクルの初期FS(実現可能性調査)から建設・運転支援までを一気通貫で提供する。実験装置と商用プラントの間の「実装ギャップ」を埋めるサービス産業の登場は、核融合のサプライチェーンが単なる部材供給から知見・運用の外販へ広がりつつあることを示している。

国内: Helical Fusion、商用炉「Helix KANATA」へ建設準備が前進

国内では、核融合科学研究所(NIFS)発のHelical Fusionが初の商用プラント建設に向けた進展を海外メディアでも取り上げられた。同社は今春、シリーズB 27億円と東京都の補助金10億円をあわせた37億円の調達を発表しており、ヘリカル方式による定常運転という強みを掲げて2030年代の実用化を目指す。日本勢の現在地はHelical Fusion 徹底解説日本の核融合スタートアップ最前線を参照。

今週の視点

前号の「技術の実証と資本市場の交差」という構図が、今週は一段と鮮明になった。General Fusionの上場で核融合はついに公開市場の銘柄となり、四半期ごとの開示という新しい規律にさらされる。ProximaへのGoogle・RWEの出資は、電力需要家とユーティリティが「買い手」から「株主」へ踏み込む流れを欧州でも確認させた。FIAレポートの44.8億ドルという数字は派手だが、より重要なのは立地協定6社・PPA5社という商業化の足場だろう。資金は集まった。次の焦点は、それを発電所に変える実行力に移りつつある。

出典: General Fusion発表・GlobeNewswire(2026/7/13)、Proxima Fusion発表、Fusion Industry Association「The Global Fusion Industry in 2026」(2026/7/13)、UKAEA・英政府発表、The Fusion Report(2026/7/10)各報道をもとに編集部作成。数値は各出典に記載の値。

X f